【版画】浜口陽三 1つのさくらんぼ

¥363,000

【作家名】
浜口陽三

【作品名】
1つのさくらんぼ

【サイズ】
額装寸法  巾23×高24×厚1cm
版画寸法  巾5.8×高3.8cm


【略歴】
浜口 陽三 (はまぐち ようぞう / 1909年- 2000年) 版画家

ヤマサ醤油の創業家である
濱口家の10代目濱口儀兵衛(濱口梧洞)の
三男として和歌山に生まれる。


1928年 東京美術学校(現・東京藝術大学)彫刻科塑造部に入学。
     二年後に退学しパリへ渡航、油彩・水彩・銅版画など幅広い創作活動を行う
1940年 第二次世界大戦により帰国、戦後本格的に銅版画の制作を始める。
1953年 再び渡仏
     銅版画の技法メゾチントを復興するとともに、色版を重ねて刷るカラーメゾチント技法の開拓者となった。
1957年 サンパウロ国際版画ビエンナーレの版画大賞と
     東京国際版画ビエンナーレの国立近代美術館賞をW受賞
     以後多くの国際美術展で受賞を重ね、
     世界を代表する銅版画家として名を高めた。
1981年 拠点をサンフランシスコに移す。
1996年 日本に帰国。


17世紀に生まれた銅版画の技法「メゾチント」
フランス語で「マニエル・ノワール(黒の技法)」と呼ばれ、
木版などの凸版とは逆の、凹版による版画技法です。
版の全体にベルソーという道具で無数のキズをつけ、
その微細なささくれに含ませたインクを紙に転写するというものです。

浜口陽三はここに、
色彩を与えるという革新をもたらし、
黄・赤・青・黒の四色を重ねるカラーメゾチントという
独自の技法を編み出しました。

4枚の版それぞれの微妙な明暗の諧調の重なりが、
えもいわれぬ深い色彩と柔らかな質感を生み出し、
無限の中間色と深い情感を表現します。

しかしその制作には大変な根気と労力を要し、
浜口は「6号大の大きさのメゾチントは油絵の100号大に匹敵する」
と語っているほど、その制作は非常に緻密です。

果てしない試作を経てようやく「完成」と呼べる1枚に辿り着くため、
浜口が1年で完成させる作品はわずか5〜6点のみと言われております。

まさに彼の作品は「数が少なく、極めて貴重な版画」です。


本紙枠外左下に書かれる「essai」とは試し刷りのこと。
本作は1960年に制作された「1つのさくらんぼ」の試し刷り作品です。
試し刷りは作家が保存する場合と刷り工房が保存する場合がありますが、
右下に「hamaguchi」の署名が入っているので
刷り師の為に贈呈したものでしょうか。

手間と時間と探求の結晶。
その一枚一枚は、光と闇が織りなす詩のような、ただひとつの芸術です。



備考
額装も当時のままです。経年による細かな擦れや傷がございます。
予めご了承下さい。
モニターの発色の具合によって実際のものと色が異なる場合があります。
店頭でも常時販売しておりますので売り切れる場合がございます。
その場合ご注文をキャンセルさせて頂くことがございます。
ご了承ください。

在庫残り1点

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